
素朴な疑問にお答えします ④
習字の「級」や「段」って何?
先日、知り合いに「私の字は何段くらい?」と聞かれました
普段、お稽古をしている時も、生徒の字を審査している訳ではないので、厳密に字だけを見て何段かなんて考えたことがありませんでした
むしろ、その時「段ってなんだ?」と思いました
そこで、私なりに考えた結論をお伝えします
ただ、これは私自身の結論なので「そうなのかな~」くらいに軽くお読みください
はい!そして、結論というのは、
「継続は力なり。続けた分だけ成果が出て、評価につながる。その評価が、モチベーションにつながるものであり、続けた証。」
お習字教室では、毎月出される競書課題を、ひと月のお稽古で練習をして、一番良く書けた作品を、検定に出品し、審査をされて「級」や「段」がつけられるという流れが一般的です また、全国的に評価基準が決められている訳ではなく、それぞれの財団や競書課題を出されている協会によって基準が違います
その為、正直、同じ初段を持っている習字有段者の方でも、レベルはさまざま。なので一概に、有段者だからと言って、段でレベルを比べることは、難しいですよね
ただ、はっきりとわかるのは、お習字の段は、どんなに綺麗に書ける方でも、すぐに取れるものではないということ
もちろん、昇段には、階段を上るように、一段ずつしか昇段しないので、技術も必要ですが、知識やそれまでの経験値、時間も必要となります最高段位の八段を取得するのには、それなりの努力と時間が必要です
その長い道のりを、継続していくということも大変なことです
つまり、「継続は力なり」
お習字は、綺麗な文字の書き方を学ぶものですお手本を見て、まずは真似をして綺麗な文字を書けるようにしていきます。その繰り返しで、自然に綺麗な文字を身に付け、自分のものにするのが目的です
また、文字に人柄が出ると良く言われます癖のないお手本と自分の字を見比べることによって、うまくいかない部分や、癖などを直そうとします
その時、自分自身を客観的に見つめなおすこともできるのが、お習字の不思議なところです
それを続けている訳ですから、有段者の方は、自分を見つめる力・集中力や忍耐力があるなあと思います
なので、「私、八段(最高段位)です!」とかって聞くと、私は、「すごいな!ずっと習字を続けて昇りつめたんだ。」と思います
どんなものであれ、一つの事を続けるって、大変なことですよね
お習字でこのように「級」や「段」をつける制度があるのは、継続をして努力を重ねてきた証なのかなと思いました
最後に補足ですが、以前、解説した通り、「習字」と「書道」は似ているようで違います
習字には、昇段制度がありますが、書道は芸術分野に入るため、そのような評価基準はありません
しかし、お習字で手本を写すように、書道でも先人の書の古典を臨書(模写のようなもの)をして学ぶのが基本となります教材は違えど、やっていることは似ています
書道をやっている方が、有段者でないケースは多々ありますが、同じように継続することにより、より作品に深みが出て、技術とともに、集中力・忍耐力・創造力などを養っていきます
なので、書作品を書かれている方や書家さんに「段とかお持ちなんですか?」とお伺いすると困った顔をされるケースがありますので、ご注意ください
少しややこしくなりましたが、お習字有段者は、やはり継続して素晴らしい成果を出された証だと言うことですね